Sugar&Spice GUMBO趣味あまから手帳「滋味風味」
すぐそばにあるBluesやHumor、その他もろもろの雑談横丁。
このところ、フィギュアスケート関係の話が多いです。
「あまから」といいつつ、言いたい放題の辛口御免。
その上不定期。気まぐれワガママ放題の無法地帯。
どうぞ大目に見てください。

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悩めよ少年 21:01


朝から暑く湿気もむっとするような日曜。8時半から練習に入り10時からの試合に備える。でもみんななんだかぴりっとしない。
第一試合、先発メンバーが監督から発表される。
エースピッチャーもキャプテンもバッテリーから外れて新しい布陣がなされた。
それが裏目に出て、どうもうまくいかない。守りはぎくしゃくしたままずるずるとやられっぱなしの試合になり、選手達の焦りが声を小さくさせて、ミスを連発させた。
普段は穏和な監督の檄が怒号に変わる。それがまた、選手達を混乱させていたようだった。
中盤からエースがリリーフ、キャプテンがキャッチャーのベストメンバーになり、みんなが少し落ち着いて動き出した。
かのように見えた。

第2試合。キャプテンがピッチャーかと思われたところ、また別メンバーでの先発。内野に6年をそろえるという布陣になった。これで「撃たせてとる」布陣はできた。
はずだった。

連携がうまくいかない。完全にどうすればいいのか判断がバラバラいなってしまっていた。
やっと、キャプテンがピッチャーになる。最初は入っていたが、またストライクが入らなくなった。

中盤、チェンジでベンチに引き揚げてきたキャプテンが脚を引きずってきた。「脚が痛い…」前の回でホームのカバーに入ったときにクロスプレーで向こうずねをかなり強打したらしいのを、がまんしてマウンドに上がっていたのだ。
それも限界がきて、泣き顔と怒りで凄い形相になっていた。

「どしたん!」「大変!」おかあさん達がわっと集まって大慌てで脚を冷やす。キャプテンは大騒ぎを完全無視。
「なんではやくいわんのか!」
監督も思わず声を荒げる。
キャプテンはそんな大人達に冷たい一瞥をくれて、少し離れた日陰のブルーシートに腰を下ろした。
「ほっといてくれ」
そういっているように見えた。

試合は続く。選手も監督もベンチに戻り、彼のバリヤーを感じたお母さん達は、お茶やタオルの準備に入った。





後ろからレンズ越しに見たキャプテンの背番号は、1人座り込み、痛さと寂しさと情けなさと、うまくいかないもやもやでいっぱいになって、ぽつんと小さくなっている。

少し間をおいて、ならんで横に腰掛けた。
座って少し遠くから、チームの動きを見ていた。

まわりは、立っている大人達が右へ左へ動いている。
座り込んだ視点は、大人達の足下でこぼれている小さなもの達と同じような気がした。
静かだ。喧噪は、頭の上の世界の出来事だ。
時間の流れが、ゆっくりしている。

「…水しぶき」

キャプテンがぼそっと呟いた。

「ん?どした?」

「あそこの、水しぶきがきれいだよ」

少し離れたところで、メンバーの小さな妹が、バケツの水でバシャバシャと水遊びをしている。その水しぶきが、光に当たってキラキラ飛び散っていた。

「ほんと!いいねえ」

「あんなの撮ったらいいよ」

「そだね、うまくいくかな?」

構えてチャンスを狙う。ところが、シャッターを切った後に大きな水しぶきをあげてくれる。なかなかチャンスが合わない。

「あー、こういうのってねえ、待ってて撮っても、すぐあとだったりするんだよねえ、チャンス」




「ほらほら、今だよ!」
「あ!また失敗」
「あかんやん。早すぎるンと違う?」
「よし、もっかい!」
「ほら!今だよ今!」

「足入れたらもっと飛ぶのになあ」

水滴が散らばって光り輝く瞬間を何度も狙うが、どうもちょっとズレてばかりになった。

「よっしゃ!撮れた!…ああ、あかんわー惜しいなー…

…今日は、U君がいいね」

「うん、調子いいみたい」
「エース君はもひとつかなあ。子熊もちょっとびびってたね」
「うんそうなんだ」

「キャプテンは今日、最初からちょっと機嫌悪かったね」

「…そう…? …うん、悪かった」

「なんで?」

「……なんでかなあ……わからん」


「そっか。そんな時もあるさ」

キャプテンは仏頂面から少し微笑んだ。

「この回、結構長いね。よく攻めてる」

「そうだね。最終回だし。キャプテンいない分がんばってるんだよ」
「そかなあ」
「そうだよ。子熊がキャプテンいないぶんがんばろう、って言ってたよ」

試合が終わった。整列して挨拶しに全員が並びに走っていく。

「僕も行った方がいいかな」

「立てるならいきなよ」

でも、立つのが遅れて列には間に合わなかった。
もう一回腰を下ろす。
メンバーがベンチに向かって帽子をとって挨拶をした。

「ねえ、あれさ…みんながそろって帽子をとったらカッコイイね」
 


試合が終わって大人がまたキャプテンの様子を見に声をかけて周りに集まってきた。氷嚢を用意しにお母さんが走る。
キャプテンはゆっくり立ち上がり、ミーティングの輪の中に入っていった。



帰り際、1人車に乗り母親を待っているキャプテンに、窓をたたくと首を出した。

「くさるなよ」

「えー?…えへへっ」

キャプテンはちょっと照れたように笑った。



| daily | comments(2) | trackbacks(0) | posted by satosugar
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Comment








◆トップの写真て、Nikon FG 50? 

オレ、カメラのこと、まるっきり分かってないんだけど、前に「このカメラのはこういう色で…」ってエントリーあったよね。それとも、「ポジティブ」てやつ?

 とにかくさ、最高の写真だわ。美しいよ。
posted by Yuji | 2007/05/30 7:52 PM |
これはNikonのCoolpixです。やっぱりニコン色らしいとこあるのかな?コンデジの割には、しっかりボケも生きるみたいです。

ふと思いついて何気なく撮ったこんな写真のほうが、後から見てよかったりしますよね。最高で美しいということはないけどさw
posted by sato | 2007/06/01 9:54 PM |
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